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  • WordPress最古のプラグイン「Hello Dolly」のソースコードを読み解く — 小さなコードに詰まった設計思想

    WordPressを触ったことがある人なら、一度は見たことがある「Hello Dolly」。

    管理画面の右上に突然表示される歌詞――
    正直、実用性はほぼありません。

    しかしこのプラグイン、WordPressのプラグイン開発思想そのものを示すサンプルコードとして作られています。

    今回は、WordPress史上最初のプラグイン Hello Dolly の実際のソースコードを読み解きながら、

    • WordPressプラグインはどう動くのか
    • Hooks(フック)の基本構造
    • WordPressらしい設計思想

    を現代視点で丁寧に解説します。


    概要

    Hello Dolly は WordPress 1.2(2004年)に同梱された公式プラグインです。

    目的は非常に明確で、

    「WordPressはこうやって拡張する」

    という開発者向けの実例を示すこと。

    コード量は少ないものの、実は以下すべてが含まれています。

    • データ処理
    • WordPress API利用
    • アクションフック
    • 管理画面出力
    • CSS注入
    • 国際化(i18n)対応
    • アクセシビリティ配慮

    つまり プラグイン開発の最小完成形です。


    主な変更点・特徴

    Hello Dolly のコードは、大きく4つの役割に分かれています。

    • 歌詞データの取得
    • 表示内容の生成
    • WordPressイベントへの登録(Hook)
    • 管理画面CSSの追加

    順番に見ていきます。


    何が変わるのか / 影響(コード解説)

    ① 歌詞を取得する関数

    function hello_dolly_get_lyric() {

    ここがデータ処理の中心です。

    ▼ 歌詞を文字列として定義

    $lyrics = "Hello, Dolly
    Well, hello, Dolly
    …";

    ポイント:

    • DBを使わない
    • 外部通信もしない
    • 完全に自己完結

    サンプルコードとして理解しやすさを優先しています。


    ▼ 改行ごとに分割

    $lyrics = explode( "\n", $lyrics );

    explode() によって、

    1行 = 1要素

    の配列へ変換。

    つまり:

    [
    "Hello, Dolly",
    "Well, hello, Dolly",

    ]

    になります。


    ▼ ランダムに1行選択

    $lyrics[ mt_rand( 0, count( $lyrics ) - 1 ) ]

    ここでは:

    • count() → 行数取得
    • mt_rand() → 高速乱数生成

    を組み合わせています。

    毎回表示が変わる理由はここです。


    ▼ WordPress独自関数

    return wptexturize(…)

    これが重要。

    wptexturize() は:

    • クォート記号補正
    • タイポグラフィ整形
    • WordPress標準表示ルール適用

    を行います。

    👉 「WordPressらしい表示」に変換する処理

    単なるPHPではなく、WordPress環境に統合されています。


    ② 実際に画面へ表示する

    function hello_dolly() {

    ここは「出力担当」。


    ▼ 歌詞取得

    $chosen = hello_dolly_get_lyric();

    責務分離がされています。

    • 取得ロジック
    • 表示ロジック

    を分けているのは非常に良い設計。


    ▼ 管理画面の言語判定

    if ( 'en_' !== substr( get_user_locale(), 0, 3 ) )

    ユーザー言語が英語以外なら:

    lang="en"

    を追加。

    これは:

    ✅ スクリーンリーダー対応
    ✅ 多言語環境対応

    というアクセシビリティ設計です。

    2004年コードとは思えない配慮。


    ▼ HTML出力

    printf(…)

    出力されるHTMLは実質:

    <p id="dolly">
      <span class="screen-reader-text">...</span>
      <span dir="ltr">歌詞</span>
    </p>

    ここで重要なのは:

    • __() → 翻訳対応
    • screen-reader-text → 視覚障害者対応
    • dir=”ltr” → 表示方向固定

    WordPress標準UIルールの教科書状態です。


    ③ Hook(WordPressの核心)

    add_action( 'admin_notices', 'hello_dolly' );

    これがWordPress最大のポイント。

    意味は:

    管理画面通知が表示されるタイミングで hello_dolly() を実行

    つまり、

    • コアを変更しない
    • 指定イベントへ割り込む

    これが プラグインアーキテクチャの本質です。

    現代WordPressでも完全に同じ仕組みが使われています。


    ④ CSSを管理画面へ追加

    function dolly_css()

    ここでは <style> を直接出力。

    add_action( 'admin_head', 'dolly_css' );

    により、

    管理画面 <head> 読み込み時に実行されます。


    CSSのポイント:

    • 右上へ配置
    • RTL言語対応
    • モバイルレスポンシブ対応
    • ブロックエディタでは非表示

    後年のGutenbergにも対応済みなのが興味深い点です。


    個人的な所感

    Hello Dolly を改めて読むと驚くのは、

    「初心者向けサンプルなのに設計が正しい」こと。

    たった数十行で:

    • Hook思想
    • WordPress API利用
    • 国際化
    • アクセシビリティ
    • UI統合

    が全部学べます。

    現代のプラグイン開発でも、

    最初に読むべきコードはHello Dolly

    と言われ続ける理由がよく分かります。

    実用機能ゼロなのに、教育価値は極めて高い。


    まとめ

    Hello Dolly は単なるジョークプラグインではなく、

    • WordPress拡張モデルの原点
    • Hookベース設計の実例
    • プラグイン開発の最小テンプレート

    でした。

    現在のWordPressには数万のプラグインがありますが、そのすべての始まりはこのコードです。

    もしこれからWordPress開発を始めるなら、
    フレームワーク解説より先に Hello Dollyを読むことをおすすめします。

    小さなコードですが、WordPressの思想そのものが詰まっています。

  • WordPress 6.0 “Arturo” リリース

    WordPress 6.0 “Arturo” が正式にリリースされた。

    今回のリリース名「Arturo」は、グラミー賞受賞歴を持つラテンジャズミュージシャン Arturo O’Farrill にちなんで名付けられている。
    5つの年代にわたり15枚以上のアルバムを発表し、現代ラテンジャズに大きな影響を与えた音楽家だ。

    2022年2回目となるメジャーアップデートとなる本バージョンでは、約1,000件におよぶ改善とバグ修正が行われている。

    現在、WordPress は世界中の 42%以上のWebサイト を支えるプラットフォームとなっており、本リリースでは安定性・性能・操作性のさらなる向上が図られている。


    執筆体験のさらなる向上

    WordPress 6.0 では、文章作成やページ編集の体験が大きく改善された。

    主な強化点として、

    • 複数ブロックをまたいだテキスト選択・コピー
    • [[ 入力による投稿・固定ページの即時検索
    • ブロック変換時のスタイル保持
    • カスタムボタンのデザイン再利用
    • タグクラウドやソーシャルアイコン設定の改善

    など、日常的な編集作業を効率化する改良が多数追加されている。

    細かな改善ではあるが、実際の運用では確実に作業時間短縮につながるアップデートと言える。


    スタイル切り替え機能の進化

    ブロックテーマでは スタイルバリエーション が正式に強化された。

    同一テーマ内で、

    • フォントウェイト
    • カラーパレット
    • デザイン設定

    などをワンクリックで変更可能となり、サイト全体の印象を瞬時に切り替えられる。

    テーマを変更せずにデザイン変更が行える点は、フルサイト編集(FSE)の完成度を大きく高めている。


    テンプレート機能の拡張

    WordPress 6.0 では、新たに以下のテンプレートが追加された。

    • Author
    • Date
    • Categories
    • Tag
    • Taxonomy

    これにより、コンテンツ構造ごとのデザイン管理がより柔軟になった。

    さらに、

    • カバーブロックでのアイキャッチ画像利用
    • クエリブロックの高度なフィルタリング
    • パターン・テンプレートパーツの高速挿入

    など、サイト構築の自由度も向上している。


    パターン機能の統合強化

    ブロックパターンは、ヘッダーやフッター作成時など、必要な場面で自動的に表示されるようになった。

    テーマ開発者は theme.json を通じて推奨パターンを登録でき、ユーザーはより直感的にレイアウトを構築できる。

    WordPress が「組み立て型サイト制作ツール」へ進化していることを強く感じさせる部分だ。


    デザインツールの強化

    6.0 ではデザイン操作も大きく改善されている。

    • 新しいカラーパネルUI
    • ボーダー設定の簡略化
    • カラー透明度設定
    • グループブロックでの一括レイアウト制御
    • ギャラリーブロックの余白管理

    など、コードを書かずに細かなデザイン調整が可能となった。


    リストビューとブロックロック

    リストビューでは複数ブロック選択やドラッグ操作が可能となり、大規模ページ編集が容易になった。

    また、新たに追加された ブロックロック機能 により、

    • 移動禁止
    • 削除禁止

    を設定できるようになり、クライアントへのサイト引き渡し時の安全性も向上している。


    パフォーマンスとアクセシビリティ

    WordPress 6.0 ではパフォーマンス改善にも重点が置かれている。

    • 投稿・ページ読み込み速度向上
    • クエリ処理の最適化
    • キャッシュ改善
    • ナビゲーション処理の高速化

    などが実施された。

    さらに 50件以上のアクセシビリティ改善 が行われ、より多くのユーザーが利用しやすい環境が整備されている。


    コミュニティによるリリース

    本リリースは 58か国以上・500人以上の貢献者 によって実現された。

    WordPress 開発コミュニティの継続的な協力体制こそが、この巨大なオープンソースプロジェクトを支えている。

    リリース時点で 76 のロケールが90%以上翻訳を完了しており、WordPress が世界規模で利用されていることを改めて実感させられる。


    WordPress の使命

    WordPress は、

    誰もが自由に発信できる環境を提供する

    という理念のもと開発が続けられている。

    アクセシビリティ、パフォーマンス、セキュリティ、使いやすさを重視し、最小限の設定で誰でもWeb公開を始められることを目標としている。

    オープンソースコミュニティの情熱が、WordPress の進化を支え続けている。


    早速アップデート

    実際にアップデートを行ってみると、編集操作の自然さがさらに向上している印象を受けた。

    フルサイト編集は着実に成熟し、WordPress は単なるCMSを超え、本格的なサイト制作プラットフォームへと進化し続けている。

    今後のリリースでどこまで完成度が高まるのか、ますます楽しみなアップデートと言えるだろう。

    参考にした記事

  • WordPress 5.0 “Bebo” リリース

    WordPress 5.0 “Bebo” が正式にリリースされた。

    今回のリリースは、キューバのジャズピアニスト
    Bebo Valdés にちなんで名付けられている。

    WordPress の歴史の中でも、間違いなく最大級の転換点となるアップデートだ。

    新しいエディター「ブロックエディター」登場

    WordPress 5.0 最大の特徴は、新しい ブロックベースエディター の導入。

    これまでの投稿画面とは大きく異なり、

    • 段落
    • 見出し
    • 画像
    • ギャラリー
    • 動画
    • ボタン
    • カラム

    など、すべての要素が「ブロック」として管理されるようになった。

    文章を書く感覚というより、
    ページを組み立てる感覚に近い。

    HTML を直接編集していた時代から考えると、隔世の感がある。

    コンテンツ制作の自由度が大幅向上

    ブロック方式によって、

    • 要素の並び替え
    • レイアウト変更
    • 再利用可能ブロック
    • マルチメディア配置

    が直感的に行えるようになった。

    見た目を崩さずに編集できるため、
    開発者と利用者の役割分担もより明確になる。

    WordPress は「ブログツール」から、
    本格的なサイトビルダーへ進化したと言えるだろう。

    新デフォルトテーマ「Twenty Nineteen」

    WordPress 5.0 では、新テーマ Twenty Nineteen が追加された。

    ブロックエディターを前提として設計され、

    • シンプルなタイポグラフィ
    • 高速表示のシステムフォント
    • 幅広いサイト用途への対応

    など、現代的なWebデザイン思想が取り入れられている。

    エディターで作った内容と実際の表示が一致する点も非常に分かりやすい。

    Classic Editor も継続サポート

    従来の編集画面に慣れているユーザー向けに、
    Classic Editor プラグインも引き続き利用可能となっている。

    急激な変化ではあるが、既存ユーザーへの配慮も感じられる。

    CMSの中心へ

    気が付けば WordPress は、
    Web 世界で最も利用される CMS の一つとなった。

    私自身も、かつては HTML をエディターで直接記述してサイトを作成していたが、
    現在では完全に CMS ベースの制作へ移行している。

    今回の 5.0 リリースによって、

    「Webサイトを作る」という行為そのものがさらに身近になった

    と感じている。

    早速アップデート

    さっそくバージョンアップを行ってみた。

    以前よりも柔軟にレイアウトを構築でき、
    コードを書かなくても高度なページ作成が可能になった印象だ。

    WordPress は、これからどこまで進化していくのだろうか。

    参考にした記事

  • WordPress 4.0 “Benny” リリース

    WordPress 4.0 “Benny” がリリースされた。

    今回のバージョンは、ジャズクラリネット奏者 Benny Goodman にちなんで名付けられている。

    “This release brings you a smoother writing and management experience we think you’ll enjoy.”

    3.x 系列を経て、ついに バージョン4 の時代へ突入した。

    メディア管理が大きく進化

    WordPress 4.0 では、メディアライブラリが大幅に改善された。

    アップロードした画像やファイルを、無限グリッド表示で一覧できるようになり、大量のメディア管理が非常に快適になっている。
    詳細プレビューも強化され、編集作業の流れを止めずに操作できる点が印象的だ。

    ブログを書くという行為が、ますます自然なものになってきた。

    YouTube を貼るだけで埋め込み

    これは個人的にかなり驚いた機能。

    YouTube の URL を1行貼り付けるだけで動画が埋め込まれる。

    これまでのように埋め込みコードをコピーする必要がない。

    まさに、

    Paste in a YouTube URL … and watch it magically become an embedded video.

    という表現そのままだ。

    動画だけでなく、Tweet や TED など様々なサービスにも対応し、
    ブログが「文章中心」から「メディア中心」へ変化していることを感じる。

    執筆体験の向上

    エディタも改良され、

    • 文章量に合わせて自動的に拡張
    • 書式ツールを常に表示
    • より没入感のある編集画面

    といった改善が行われた。

    書くことに集中できる環境が、さらに整ってきた印象だ。

    プラグイン導入もより簡単に

    現在、WordPress の公式ディレクトリには 30,000以上のプラグイン が存在するという。

    WordPress 4.0 では、

    • 検索性能の向上
    • 評価指標の追加
    • 視覚的に探せる画面

    などが導入され、目的のプラグインを見つけやすくなった。

    初心者でも拡張機能を導入しやすくなったのは大きい。

    WordPressは成熟期へ

    275名ものコントリビューターが参加した今回のリリースは、
    WordPress が巨大なコミュニティによって支えられていることを改めて感じさせる。

    かつて「新しいブログツール」として登場した WordPress は、
    いまや世界中のWebサイトを支える基盤へと成長した。

    まだ導入していない皆さんへ

    ここまで進化した WordPress。

    まだ導入していない方も、そろそろ使い始めても良い時期ではないだろうか。

    ブログはもちろん、サイト構築の選択肢としても十分成熟した存在になったと感じている。

    参考にした記事

  • WordPress 3.0 “Thelonious” リリース ― そして私も導入

    WordPress 3.0 “Thelonious” のリリースが発表された。

    “WordPress 3.0, the thirteenth major release of WordPress … is now available.”

    約218名の開発者による半年間の作業の成果として公開された今回のリリースは、WordPress の歴史の中でも大きな転換点となるバージョンと言えそうだ。

    久しぶりの大きな節目

    思い返せば、前回の大きな転換点だった WordPress 2.0 は 2005年末。
    この数年、私自身も非常に忙しくなり、WordPress の進化をゆっくり追いかける余裕がなかった。

    しかし今回の 3.0 リリース は、久しぶりに「世代が変わった」と感じさせる内容になっている。

    新しいデフォルトテーマ「Twenty Ten」

    WordPress 3.0 では、新しい標準テーマ Twenty Ten が登場。

    テーマ開発者向けには、

    • カスタム背景
    • カスタムヘッダー
    • メニュー管理(ファイル編集不要)
    • カスタム投稿タイプ
    • タクソノミー

    といった API が追加され、WordPress が単なるブログツールから CMS へ進化している ことを強く感じる。

    WordPress MU との統合

    長年待たれていた WordPress MU との統合も実現した。

    これにより、

    one blog or ten million from the same installation

    つまり、1つのインストールで多数のサイトを管理できる マルチサイト機能 が正式に利用可能となった。

    個人ブログだけでなく、大規模サービス基盤としての可能性も広がったと言える。

    管理画面と操作性の向上

    ユーザー側の変化としては、

    • より軽快になった管理インターフェース
    • 各画面のコンテキストヘルプ
    • プラグイン一括アップデート
    • 1,200件以上のバグ修正

    など、日常的な操作が大きく改善されている。

    長年使い続けているユーザーほど、その違いを実感できるだろう。

    コミュニティの成長

    今回のリリースには 218 名もの貢献者が参加している。

    WordPress はもはや一人の開発者によるソフトではなく、
    世界中のコミュニティによって成長するプロジェクトになった。

    ダウンロード数も急増し、WordPress を取り巻く環境そのものを整備する段階に入ったようだ。

    そして、私も WordPress を使い始めました

    これまで何度も紹介してきた WordPress だが、
    ついに私のサーバー環境でも利用できるようになり、私自身も WordPress を使い始めた

    2003年の最初のリリースを知った頃には、まだ導入すらできなかったことを思うと、少し感慨深い。

    ブログツールとして誕生した WordPress が、ここまで成長するとは当時は想像していなかった。

    これからは「外から眺める存在」ではなく、
    実際に使う立場として WordPress を見ていくことになりそうだ。

    参考にした記事

  • WordPress最初のプラグイン「Hello Dolly」とは何だったのか

    2004年5月、WordPressの歴史において非常に重要なアップデートが公開されました。
    それが WordPress 1.2 “Mingus” のリリースです。

    このバージョンで初めて「プラグインシステム」が正式に導入され、現在では当たり前となっている “WordPressを拡張する文化” がスタートしました。

    そして、その象徴として同梱されたのが、WordPress史上もっとも有名で、最初のプラグインとされる 「Hello Dolly」 です。

    この記事では、Hello Dollyが何だったのか、なぜ重要だったのかを整理して紹介します。


    概要

    Hello Dolly は、WordPress共同創設者である
    マット・マレンウェッグ(Matt Mullenweg) によって開発されたプラグインです。

    • リリース日:2004年5月22日
    • 同梱バージョン:WordPress 1.2 “Mingus”
    • 目的:プラグイン機構のサンプル実装

    機能自体は非常にシンプルで、管理画面の右上に
    ルイ・アームストロングの楽曲 『Hello, Dolly!』 の歌詞をランダム表示するだけ。

    実用性というよりも、「WordPressはこうやって拡張できる」という技術デモとして作られました。


    主な変更点・特徴

    WordPress 1.2とHello Dollyが持っていた意味を整理すると、次のポイントになります。

    • ✅ WordPress初の公式プラグインとして同梱
    • ✅ コアを改変せず機能追加できる仕組みを提示
    • ✅ Hooks(フック)とFilters(フィルター)の実例
    • ✅ 開発者向けサンプルコードとして設計
    • ✅ 管理画面UIへ安全に出力する方法を実演

    また、WordPress 1.2にはHello Dolly以外にも、

    • Markdownサポート
    • Textile変換ツール
    • テキスト処理系プラグイン

    など、合計5つのプラグインがプリインストールされていました。


    何が変わるのか / 影響

    ■ それまでのWordPress

    WordPress 1.2以前では、機能追加を行うには:

    • WordPress本体(コア)を直接編集
    • アップデート時に変更が消える
    • 保守が困難

    という問題がありました。


    ■ プラグインアーキテクチャの登場

    開発者 ライアン・ボレン(Ryan Boren) によって設計されたプラグインシステムにより、

    • コアを変更しない
    • API経由で機能追加
    • 拡張の分離
    • 再利用可能な機能共有

    が可能になります。

    これは単なる機能追加ではなく、

    WordPressを「CMSプラットフォーム」へ進化させた転換点

    と言っても過言ではありません。


    ■ エコシステム誕生への布石

    Hello Dollyの登場以降、

    • 個人開発者が機能を公開
    • コミュニティ主導の拡張
    • テーマ・プラグイン市場の形成

    が急速に進みます。

    なお、現在につながる 公式プラグインディレクトリ が開始されたのは翌年の2005年です。


    個人的な所感

    Hello Dollyは正直に言えば「役に立つプラグイン」ではありません。

    しかし、重要なのはそこではありません。

    このプラグインは、

    • WordPressは拡張されることを前提に設計された
    • コアは最小限に保つ思想
    • コミュニティ参加を促す入口

    を象徴しています。

    実際、多くの開発者が最初に読むWordPressコードがHello Dollyでした。

    つまりこれは、

    世界最大級CMSの“Hello World”

    のような存在だったと言えます。


    まとめ

    WordPress 1.2 “Mingus” と Hello Dolly の登場は、単なる新機能追加ではなく、

    • プラグイン文化の誕生
    • 開発者エコシステムの基礎構築
    • WordPressの長期的成長モデル確立

    という歴史的な意味を持っていました。

    現在、数万を超えるプラグインが存在するWordPressですが、その原点は「歌詞を表示するだけ」の小さなプラグインです。

    今後WordPressを開発者視点で見る際には、
    Hello Dollyが示した「拡張性」という思想にも注目してみると面白いかもしれません。

    参考にした記事

  • WordPress 2.0 “Duke” リリース

    WordPress 2.0 “Duke” のリリースが発表された。

    “The WordPress community is very proud to present the next generation of WordPress to the world.”

    今回のバージョンはジャズピアニスト Duke Ellington にちなんで「Duke」と名付けられている。
    WordPress が“次世代”へ進んだことを強く感じさせるメジャーアップデートだ。

    大きく進化した編集環境

    今回のリリースで最も注目されているのは、ブログの核心とも言える 文章作成インターフェース の刷新だという。

    WYSIWYG 編集の強化

    WordPress 2.0 では WYSIWYG 編集 が本格的に導入された。

    smooth WYSIWYG editing experience to WordPress

    編集画面で見たままの内容が、そのまま公開画面へ反映される仕組みになったようだ。

    WYSIWYG という言葉は、どこか懐かしさを感じる。
    1987年に X68000 を購入した頃、ワープロソフトにこの言葉が大きく書かれていたのを思い出す。

    当時は意味が分からなかったが、「画面で編集したまま印刷できる」というのは非常に画期的な仕組みだった。
    現在では Microsoft Word などの登場により、専門知識がなくても誰もが自然に扱えるものとなり、あえて専門用語として語られることも少なくなった。

    その流れが、いよいよブログツールにも完全に到達したのだろう。

    管理画面の全面刷新

    WordPress 2.0 では管理画面も大幅に変更されている。

    • 完全に再設計されたバックエンド
    • AJAX を活用した高速操作
    • 投稿画面のドラッグ&ドロップカスタマイズ
    • コメント削除時のページ再読み込み不要処理
    • 投稿プレビューの強化

    カテゴリー追加や操作がリアルタイムに行えるなど、従来より格段に快適になったようだ。

    スパム対策とメディア管理

    さらに、

    • Akismet によるスパム対策
    • データベースバックアップ機能
    • 画像・音声・動画のインラインアップロード
    • 投稿速度の向上

    など、実運用を意識した改良も多数含まれている。

    ユーザー権限も数値レベル制から、

    • Administrator
    • Editor
    • Contributor

    といった役割ベースへ変更され、複数人運営にも対応しやすくなった。

    開発者向けにも大きな進化

    内部構造も整理され、

    • キャッシュシステム搭載
    • プラグインフックの大幅追加
    • テーマ用 functions.php 対応
    • インポートフレームワーク刷新

    など、WordPress を単なるブログツール以上のプラットフォームへ発展させる土台が整えられたように思える。

    私はまだ使えないが…

    WordPress は着実に進化を続け、利用しているサイトもかなり増えてきている印象だ。

    しかし残念ながら、私のレンタルサーバー環境では、いまだ WordPress を動かすことができない。

    すでに皆さんの中には使い始めている方も多いのではないだろうか。

    WordPress が今後どこまで成長していくのか、引き続き注目していきたいと思う。

    参考にした記事

  • WordPress 1.0 リリース ― メジャーバージョン登場

    WordPress 1.0 の正式リリース が発表された。

    “I am proud to announce that WordPress 1.0 is now available.”

    バージョン番号が示す通り、今回のリリースは WordPress にとって大きな節目となるメジャーアップデートだという。開発には多くの努力が注ぎ込まれたようだ。

    WordPress 1.0 の主な新機能

    今回の 1.0 では、ブログ運営において重要となる機能が大幅に強化されている。

    検索エンジンに優しいパーマリンク

    投稿URLを意味のある構造に変更できる Search engine friendly permalinks を搭載。
    より整理されたURIを生成でき、検索エンジンにも配慮された設計となった。

    複数カテゴリー対応

    1つの記事を複数カテゴリーへ所属させることが可能に。

    “you could have one post in twenty different categories, if you wanted.”

    ブログの情報整理が格段に柔軟になった。

    インストールとアップグレードの簡素化

    設定ファイル wp-config.php をブラウザから設定可能となり、導入作業がさらに容易になった。
    既存ユーザーも upgrade.php を実行するだけでデータベース更新が行えるという。

    コメント管理機能

    コメント公開前の承認(モデレーション)機能を追加。
    スパム対策としても非常に重要な改良と言える。

    Atom・XFN 対応

    • Atom 0.3 シンジケーション対応
    • XFN(人間関係を表現するリンク属性)サポート

    ブログ同士のつながりをより意識した仕様になっている点が興味深い。

    管理画面の大幅改良

    • より高速な投稿インターフェース
    • 管理画面からのユーザー作成
    • 構造と命名規則の整理
    • TrackBack / Ping の編集時送信

    内部構造も将来を見据えて整理されたとのことだ。

    他ブログツールからの移行

    特に注目すべき点として、

    Movable Type、Textpattern、Blogger などから簡単に移行可能

    というインポートツールが用意された。

    これは現在主流となっているブログツール利用者にとって、大きな意味を持つだろう。

    徐々に広がる WordPress

    最近では WordPress を実際に利用するサイトも少しずつ増えてきているようだ。
    今回の 1.0 リリースによって、今後さらに普及していく可能性を感じる。

    私自身は現在 Movable Type を利用しているが、WordPress の進化は非常に気になる存在になってきた。

    早く使ってみたいが…

    残念ながら、私の利用しているサーバー環境では、まだ WordPress を動作させることができない。

    とはいえ、この勢いを見る限り、WordPress は今後ブログ界において重要な存在になっていきそうだ。

    今後も WordPress 関連のニュース を追いかけ、随時紹介していきたいと思う。

    参考にした記事

  • WordPressがリリースされた

    先日、Matt Mullenweg 氏のブログにて、ついに WordPress の最初のリリース が公開された。

    “I am very happy to announce that the first release of WordPress is now available for download.”

    オープンソースのブログツールとして登場した WordPress は、GPL ライセンスのもと 完全無料で利用可能 とされている。
    すでに海外のブログ界隈では大きな話題になっているようだ。

    WordPressの主な特徴

    公開された内容によると、WordPress には次のような機能が搭載されている。

    • Texturize — “So good it’ll make your quotes curl.”
    • WordPress Links — blogroll 管理を含むリンクマネージャ
    • XHTML 1.1 準拠
    • Highly Intelligent Line Breaks(いわば nl2br の進化版)
    • 新しい管理インターフェース
    • Manual Excerpts(投稿概要の手動作成)
    • 新しいデフォルトテンプレート
    • コード整理による高速化と安定性向上

    特に管理画面を XHTML/CSS ベースで全面的に作り直した点は印象的で、「シンプルであること」を強く意識して設計されているようだ。

    まだ私の環境では使えない

    残念ながら、私が利用しているレンタルサーバーでは、現時点では WordPress を動かすことができない。

    現在は Movable Type を使用してブログを運営しているが、WordPress の掲げる 自由でオープンな思想 には強く惹かれるものがある。

    商用ソフト中心だった weblog ツールの世界において、
    「誰でも自由に改良できるブログシステム」が登場した意味は大きい。

    これからに期待

    まだ誕生したばかりのソフトウェアだが、WordPress が今後どのように成長していくのか非常に楽しみだ。

    サーバー環境が対応したら、ぜひ一度試してみたいと思う。

    ブログという文化そのものを変える存在になるかもしれない。

    参照した記事