インテル、8ビットマイクロプロセッサ「i8008」を発表!— コンピュータの小型化が現実に

デジタルとコンピューター

📰 1972年4月 特集記事 📰

コンピュータ技術の進化が止まらない。1971年に世界初のマイクロプロセッサIntel 4004を発表したインテル社(Intel Corporation)が、さらに強力な8ビットマイクロプロセッサ「Intel 8008(i8008)」を発表した。

この新型プロセッサは、従来のミニコンピュータの処理能力を持ちながら、驚くほど小型なチップに収められている。コンピュータのさらなる小型化・低価格化が現実のものとなるかもしれない。


Intel 8008とは?

Intel 8008(i8008) は、インテルが開発した8ビットマイクロプロセッサであり、同社が前年(1971年)に発表した4ビットのIntel 4004に続く、第2世代のマイクロプロセッサである。

📌 Intel 8008の基本仕様

項目Intel 8008
発表日1972年4月
データバス幅8ビット
最大メモリ空間16KB
トランジスタ数約3,500個
クロック周波数最大0.5MHz
命令セット約48種類
パッケージ18ピンDIP

このプロセッサは、1970年にインテルがテレタイプ端末メーカーであるComputer Terminal Corporation(CTC)からの依頼を受けて開発を開始したもので、当初はCTCのDatapoint 2200端末用に設計された。

しかし、最終的にCTCはこのプロセッサの採用を見送ったため、インテルが独自に商品化し、1972年4月に正式に発表した。


Intel 8008の革新性と進化

(1) 4ビットから8ビットへ

前年発表されたIntel 40044ビットのプロセッサであり、主に電卓や簡易的な制御装置向けに設計されていた。
これに対し、Intel 8008は8ビットアーキテクチャを採用しており、より高度な計算を実行できる。

これにより、複雑なデータ処理や入出力操作が可能となり、コンピュータの本格的な小型化が現実味を帯びてきた。

(2) 最大16KBのメモリアドレッシング

Intel 4004は640バイトのメモリしか扱えなかったのに対し、Intel 8008は最大16KBのメモリをアドレス指定できる。
これは、小型コンピュータや端末にとって非常に大きな進歩であり、より高度なプログラムを実行できる可能性を開いた。

(3) 初の汎用マイクロプロセッサ

Intel 4004は特定の計算機向けに開発されたのに対し、Intel 8008はさまざまな用途に利用できる汎用プロセッサとして設計されている。
この汎用性の高さにより、小型コンピュータや工業制御システム、端末装置など、幅広い分野での採用が期待されている。


Intel 8008の用途と今後の可能性

Intel 8008の登場により、従来は大型で高価だったコンピュータが、より小型で手頃な価格で提供できるようになるかもしれない。

(1) 端末装置やミニコンピュータへの応用

Intel 8008はもともとCTCの端末(Datapoint 2200)向けに設計された経緯があるため、データ端末装置や通信機器での利用が想定される。

また、ミニコンピュータの制御プロセッサとしても活用できる可能性がある。

(2) 工業制御や組み込みシステム

Intel 8008は、比較的安価でありながら高度な制御が可能なため、工場の生産ライン制御や計測機器、交通システムなどの組み込み用途にも適している。

(3) 「マイクロコンピュータ」の時代が来る?

Intel 8008のような小型プロセッサが普及すれば、従来のミニコンピュータよりもさらに小型の「マイクロコンピュータ(Microcomputer)」が実現する可能性がある。

現在のミニコンピュータは、PDP-8(DEC社)IBM System/3 などが主流だが、Intel 8008のようなプロセッサが進化すれば、将来的には机の上に置けるコンピュータが登場するかもしれない。


Intel 8008の限界と今後の展望

Intel 8008は画期的なプロセッサであるが、いくつかの技術的制約も存在する。

(1) 処理速度の限界

Intel 8008の動作クロックは最大0.5MHzであり、現在のミニコンピュータと比べると処理速度はまだ十分ではない。
そのため、高度な計算処理には向かず、主にシンプルな制御用途が中心となる。

(2) メモリ容量の制約

最大16KBのメモリアドレッシングは、現在の基準では十分かもしれないが、より複雑なプログラムを動作させるには制約となる可能性がある。

(3) 次世代プロセッサへの期待

インテルをはじめとする半導体メーカーは、すでに次世代のマイクロプロセッサの開発に着手している。
今後、さらに高性能な**「16ビットプロセッサ」**や、より高度な制御が可能なマイクロプロセッサが登場することが期待されている。


まとめ:Intel 8008が切り拓く未来

Intel 8008は、世界初の8ビットマイクロプロセッサであり、コンピュータのさらなる小型化を可能にする画期的な技術である。
4ビットのIntel 4004に比べ、より高度な処理が可能であり、小型コンピュータや端末装置、工業制御用途での活用が期待される。
将来的には、「マイクロコンピュータ」の概念が現実のものとなり、個人でもコンピュータを利用できる時代が来るかもしれない。

🚀 Intel 8008は、コンピュータの未来を変える第一歩となるかもしれない。 🚀

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