📰 1974年12月 特集記事 📰
1974年も終わりに近づく中、コンピュータの世界に新たな革命が訪れた。
MITS(Micro Instrumentation and Telemetry Systems)社 が、世界初の一般消費者向けマイクロコンピュータ「Altair 8800」 を発表・発売したのだ。
個人が手に入れられるコンピュータ というアイデアは、これまでSFの世界に近いものだったが、Altair 8800 の登場により、ついに現実のものとなった。
このマシンは、主に組み立てキットとして販売され、自作志向の技術者やコンピュータ愛好家たちに向けて提供されている。
Altair 8800とは?
Altair 8800 は、MITS社が開発した 世界初の一般向けマイクロコンピュータ である。
従来のコンピュータは、大企業や大学などの大規模システムに限られていたが、Altair 8800は 個人でも購入・組み立てが可能 であり、「パーソナルコンピュータ(PC)の夜明け」とも言える存在だ。
🔹 Altair 8800の基本仕様
項目 | Altair 8800 |
---|---|
発売日 | 1974年12月 |
価格 | 397ドル(組み立てキット) |
プロセッサ | Intel 8080(8ビット、2MHz) |
メモリ | 256バイト(最大64KBまで拡張可能) |
ストレージ | なし(パンチテープ・カセットレコーダ対応) |
入出力 | フロントパネルスイッチとLED |
拡張スロット | S-100バス(合計100ピンの拡張スロット) |
💡 重要なポイント
- Intel 8080(8ビットプロセッサ)を搭載
- 本体前面のスイッチで直接バイナリ入力(ディスプレイ・キーボードなし)
- 価格はわずか397ドル(約10万円) で、従来のコンピュータと比べると破格の安さ
- 拡張性を持ち、後にキーボードやディスプレイの追加が可能
Altair 8800誕生の背景
Altair 8800の誕生の背景には、半導体技術の進化とマイクロプロセッサの登場がある。
(1) Intel 8080の登場
1974年4月、インテルが 8ビットマイクロプロセッサ「Intel 8080」 を発表した。
このチップは、従来の大型コンピュータに匹敵する性能を持ちながらも、小型かつ低価格であり、小型コンピュータの実現を可能にした。
(2) MITS社の経営危機とAltair計画
MITSはもともと電卓や電子計測機器を販売していたが、大手企業との競争により業績が悪化していた。
新たな市場を開拓するために、マイクロコンピュータ事業に進出する決断を下したのが、Altair 8800の開発のきっかけだった。
(3) 『Popular Electronics』誌での発表
MITSは、一般向けコンピュータ市場を開拓するために、1975年1月号の**『Popular Electronics』誌にAltair 8800の発表記事を掲載。
この発表が大きな話題を呼び、多くの技術者やコンピュータ愛好家から注文が殺到した。
Altair 8800の使用方法
Altair 8800は、現在のコンピュータとは異なり、キーボードやディスプレイを標準搭載していない。
代わりに、フロントパネルにあるスイッチとLEDを使って操作を行う。
🔹 基本的な操作方法 1️⃣ 電源を入れる
2️⃣ スイッチを使ってプログラムを入力(バイナリコードを手動で設定)
3️⃣ RUNスイッチを押してプログラムを実行
4️⃣ LEDランプで結果を確認
📌 上級者向けには、紙テープリーダーやカセットテープ記録装置を接続し、外部プログラムを読み込むことも可能。
Altair 8800の影響と今後の展望
Altair 8800の登場は、個人向けコンピュータの可能性を示す歴史的な出来事となった。
(1) コンピュータの個人利用が現実に
従来、コンピュータはIBMの大型システムやDECのミニコンピュータなど、高額で企業や大学向けのものが中心だった。
Altair 8800は、初めて一般消費者が手に入れられるコンピュータとして、「パーソナルコンピュータ(PC)」という新しい市場を切り拓いた。
(2) 拡張性とコミュニティの発展
Altair 8800は、S-100バスという拡張スロットを搭載しており、他の企業や個人が独自の周辺機器や拡張カードを開発できる仕組みになっている。
このオープンな設計により、今後、より多くのハードウェアやソフトウェアが登場することが予想される。
(3) 新たなソフトウェアの開発
現在、Altair 8800には標準的なOSや高級プログラミング言語がないが、すでにソフトウェア開発者の間で「Altair用のBASICインタプリタ」の開発が進められているという噂がある。
もしこれが実現すれば、プログラムの作成が容易になり、より多くの人々がAltair 8800を活用できるようになるだろう。
まとめ:Altair 8800が切り拓くコンピュータの未来
✅ Altair 8800は、世界初の一般消費者向けマイクロコンピュータであり、個人がコンピュータを所有できる時代の幕開けを告げるものだ。
✅ Intel 8080プロセッサを搭載し、拡張性のある設計で多様な用途に対応可能。
✅ プログラムは手動で入力する必要があるが、今後、より便利な入出力装置やソフトウェアが登場する可能性がある。
✅ Altair 8800の成功は、「パーソナルコンピュータ革命」の第一歩となるかもしれない。
🚀 未来のコンピュータは、個人の手の中にやってくるのかもしれない。Altair 8800は、その最初の一歩である。 🚀
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