8ビットコンピュータ向けの革新!ゲイリー・キルドールが「CP/M」を開発

デジタルとコンピューター

📰 1977年4月25日 特集記事 📰

コンピュータの世界に新たな革命が起きている。
ここ数年、マイクロコンピュータの普及が進んできたが、依然としてオペレーティングシステム(OS)の統一がないことが大きな課題だった。
そんな中、ゲイリー・キルドール(Gary Kildall)氏 が開発した「CP/M(Control Program for Microcomputers)」 は、マイクロコンピュータ市場の未来を大きく変える可能性を秘めている。

CP/Mは、8ビットCPU「Intel 8080」向けに設計されたディスクオペレーティングシステム(DOS) であり、これによりマイクロコンピュータがさらに使いやすく、汎用性の高いものになると期待されている。


CP/Mとは?

CP/M(Control Program for Microcomputers) は、8ビットCPU「Intel 8080」およびZilog Z80」 で動作するディスクオペレーティングシステム(DOS) である。

これまでのマイクロコンピュータは、機種ごとに異なる入出力方法を持ち、ソフトウェアの互換性が低い という問題を抱えていた。
CP/Mの登場により、複数のハードウェア間で共通のソフトウェア環境を提供できる 可能性が生まれた。

🔹 CP/Mの基本仕様

項目内容
開発者ゲイリー・キルドール
対応CPUIntel 8080、Zilog Z80
メモリ要件最低16KB(推奨32KB以上)
ストレージフロッピーディスク
主な機能ファイル管理、プログラム実行、入出力管理
ソフトウェア形式.COM(バイナリ実行ファイル)

💡 CP/Mは、ディスクドライブを備えたマイクロコンピュータ向けの統一OSとして設計されており、プログラムの移植性が向上する。


CP/Mの開発背景

CP/Mの開発者であるゲイリー・キルドール 氏は、アメリカ海軍大学院(Naval Postgraduate School)でコンピュータサイエンスを研究していた技術者である。
彼は、マイクロコンピュータ向けのプログラム開発を行う中で、以下の問題を感じていた。

(1) マイクロコンピュータの入出力環境が統一されていない

現在のマイクロコンピュータは、機種ごとに異なる入出力ルーチンを持ち、ソフトウェアの互換性が低い
これにより、新しいコンピュータが登場するたびに、専用のソフトウェアを開発し直さなければならない という問題があった。

(2) ディスクストレージの管理が困難

従来のマイクロコンピュータは、カセットテープを使ったデータ保存 が一般的だったが、データの読み書き速度が遅く、管理も煩雑だった。
しかし、最近になってフロッピーディスクドライブが普及し始めており、これを活用するためのOSが必要になった

(3) Intel 8080の性能を最大限に引き出す環境が求められていた

Intel 8080は1974年に発表され、Altair 8800をはじめとする多くのマイクロコンピュータに採用されるようになった
しかし、Intel 8080を活用するための統一OSが存在せず、各メーカーが独自のプログラムを開発しなければならなかった。

これらの課題を解決するため、キルドール氏は1973年にCP/Mの開発を開始し、1974年には初期バージョンを完成させた。


CP/Mの主な機能

CP/Mは、現在の大型コンピュータで使用されているオペレーティングシステム(IBMのOS/360など)と同様の機能を、マイクロコンピュータ上で実現 しようとしている。

(1) ファイル管理機能

CP/Mは、フロッピーディスクを用いたファイル管理システム を提供する。
これにより、データの保存・取得が容易になり、プログラムの管理が飛躍的に向上する。

📌 コマンド例(CP/Mの基本操作)

DIR      (ディスクの内容を表示)
ERA FILENAME.TXT (ファイルを削除)
REN OLDNAME.TXT NEWNAME.TXT (ファイル名を変更)

(2) プログラムの実行環境

CP/M上で動作するプログラムは、.COM形式の実行ファイル として保存される。
これにより、CP/Mを採用するすべてのコンピュータで同じバイナリ形式のソフトウェアを実行できる ようになる。

(3) BIOSの導入

CP/Mは、Basic Input/Output System(BIOS) という層を導入し、ハードウェアごとに異なる入出力制御を統一 している。
これにより、CP/M対応のコンピュータであれば、同じOSとアプリケーションを使用できる という画期的な仕組みが実現した。


CP/Mの影響と今後の展望

CP/Mの登場により、マイクロコンピュータの世界は大きく変わる可能性がある。

(1) マイクロコンピュータ市場の拡大 現在、多くのコンピュータメーカーが独自のOSを開発 しているが、CP/Mが普及すれば、ソフトウェア開発の統一化が進む。
これにより、マイクロコンピュータの市場拡大が加速する 可能性がある。

(2) CP/M対応の商用ソフトウェアが登場する可能性 CP/Mが普及すれば、独立系ソフトウェア企業がCP/M対応のアプリケーションを開発し、販売する市場が生まれる
将来的には、CP/M上で動作するワープロ、表計算、会計ソフトなどが登場する可能性 もある。

(3) IBMやDECなどの大手メーカーとの競争 これまで、オペレーティングシステムは大型コンピュータ向けに開発されるもの だったが、CP/Mは小型コンピュータ向けのOSとして新たな標準を築く可能性がある
これにより、IBMやDECといった大手コンピュータメーカーも、マイクロコンピュータ市場に参入するかもしれない。


まとめ:CP/Mが切り拓くマイクロコンピュータの未来

CP/Mは、Intel 8080を搭載したマイクロコンピュータ向けのディスクオペレーティングシステムである。
統一されたソフトウェア環境を提供し、マイクロコンピュータの互換性を向上させる。
CP/Mが普及すれば、ソフトウェア市場が発展し、マイクロコンピュータの可能性がさらに広がる。

🚀 マイクロコンピュータは、ついに本格的なオペレーティングシステムを手に入れた。CP/Mが、未来のコンピューティングの基盤となるかもしれない。 🚀

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