Fortranのプログラミング環境構築方法

デジタルとコンピューター

Fortranのプログラミングを始めるには、コンパイラのインストールとエディタ(またはIDE)の準備が必要です。本記事では、Windows、macOS、LinuxでのFortran環境の構築方法を説明します。


Fortranコンパイラの選択

Fortranのコードを実行するには、ソースコードを機械語に変換する「コンパイラ」が必要です。代表的なFortranコンパイラは以下の通りです。

コンパイラ特徴
GFortran無料で利用できるオープンソースのコンパイラ(GNU Fortran)
Intel Fortran Compiler (ifx, ifort)高速で最適化されたIntel製のコンパイラ(無料版あり)
FlangLLVMベースのFortranコンパイラ
NAG Fortran数値計算に強いNAG製のコンパイラ

初心者には GFortran をおすすめします。無料で簡単にインストールでき、Fortran 90/95/2003/2008/2018の標準をサポートしています。


WindowsでのFortran環境構築

GFortranのインストール(MinGW-w64)

Windowsでは GFortran を MinGW-w64 経由でインストールできます。

MinGW-w64のインストール

  1. MinGW-w64公式サイト からインストーラーをダウンロード
  2. インストール時に “x86_64-posix-seh” を選択
  3. インストール完了後、環境変数 PathC:\Program Files\mingw-w64\bin を追加

インストール確認

ターミナル(コマンドプロンプトまたはPowerShell)で以下を入力し、バージョンが表示されれば成功です。

gfortran --version

macOSでのFortran環境構築

macOSでは Homebrew を使って GFortran を簡単にインストールできます。

Homebrewのインストール(未インストールの場合)

/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"

GFortranのインストール

brew install gcc

GFortran は GCC(GNU Compiler Collection)に含まれています。

インストール確認

gfortran --version

LinuxでのFortran環境構築

Linuxでは、パッケージマネージャを使って GFortran をインストールできます。

Ubuntu / Debian

sudo apt update
sudo apt install gfortran

Fedora / RHEL

sudo dnf install gcc-gfortran

Arch Linux

sudo pacman -S gcc-fortran

インストール確認

gfortran --version

Fortranコードの作成と実行

コンパイラがインストールできたら、実際にFortranコードを書いて実行してみましょう。

Fortranコードの作成

エディタ(VS Code, Vim, Emacs など)を使って hello.f90 というファイルを作成し、以下のコードを記述します。

program hello
    implicit none
    print *, "Hello, Fortran!"
end program hello

Fortranコードのコンパイル

ターミナル(コマンドプロンプト、PowerShell)で以下のコマンドを実行します。

gfortran hello.f90 -o hello

-o オプションは、生成する実行ファイルの名前を指定するためのものです。

プログラムの実行

./hello

実行すると、Hello, Fortran! と表示されます。


Fortran開発のためのエディタとIDE

Fortranのコードを書くには、以下のエディタや統合開発環境(IDE)が便利です。

ツール特徴
VS Code軽量で拡張機能が豊富(Fortran拡張あり)
Eclipse + PhotranFortran専用の開発環境(やや重い)
Code::Blocksシンプルで使いやすいIDE
Emacs + fortran-mode高度なカスタマイズが可能
Vim + fortran.vim軽量で高機能なエディタ

VS CodeのFortran環境設定

  1. VS Code をダウンロード・インストール
  2. Fortran 拡張機能をインストール(Marketplaceで “Fortran IntelliSense” を検索)
  3. ターミナルから gfortran を使ってコンパイル・実行

より高度なFortran環境

Fortranの開発を本格的に行う場合、以下のツールも役立ちます。

Makefileの使用

Fortranのプログラムが複数のファイルに分かれている場合、Makefile を使うとコンパイルが楽になります。

# Makefile
FC = gfortran
FLAGS = -O2
TARGET = myprogram

all:
    $(FC) $(FLAGS) main.f90 module.f90 -o $(TARGET)

Intel Fortran Compilerのインストール

より高速な実行を求める場合は、Intelのコンパイラ(無料版あり)を利用するのも良い選択です。

Intel OneAPIのインストール:

wget https://registrationcenter-download.intel.com/akdlm/IRC_NAS/18991/l_BaseKit_p_2023.0.0.25993_offline.sh
sudo bash l_BaseKit_p_2023.0.0.25993_offline.sh

(ライセンス条項に同意する必要があります)

インストール後、ifx または ifort コマンドでFortranプログラムをコンパイルできます。


まとめ

✅ Fortranコンパイラは GFortran が無料でおすすめ
✅ Windowsは MinGW-w64、macOSは Homebrew、Linuxは apt/dnf/pacman でインストール可能
✅ VS Code などのエディタを活用すると開発がしやすい
✅ 本格的な開発では MakefileIntel Fortran Compiler も検討

Fortranは科学技術計算で今も広く使われている言語です。環境を整えて、ぜひFortranプログラミングを始めてみましょう! 🚀

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