📰 1969年 特集記事 📰
コンピュータ技術は近年、驚異的な進歩を遂げている。その最前線に立つのが、IBMが開発したSystem/360シリーズである。
1964年に発表されて以来、System/360は多くの企業、政府機関、大学に採用され、現在ではコンピュータの標準的なプラットフォームの一つとなっている。
本記事では、このSystem/360の概要と、その革新性、今後の展望について紹介する。
System/360とは何か？
IBM System/360 は、IBMが1964年4月7日に発表した汎用コンピュータシリーズである。
それまでのコンピュータは、機種ごとに異なる命令セットを持ち、互換性がなかったが、System/360はシリーズ全体で互換性を持つように設計された。
💡 System/360の特徴 💡
✅ スケーラビリティ：小型から大型システムまで同じアーキテクチャで対応
✅ 互換性：プログラムが異なる機種間で動作可能
✅ 多用途対応：科学計算、商業データ処理、政府機関向け業務など幅広く対応
✅ マイクロプログラミングの採用：ハードウェアの柔軟な拡張が可能
この「360」という名称は、「あらゆる用途（360度）に対応できるコンピュータ」という理念を表している。
System/360の技術革新
初の互換性を持つコンピュータシリーズ
従来のIBM製コンピュータ（IBM 1401、IBM 7090など）は、それぞれが異なる命令セットを持ち、互換性がなかった。
そのため、機種ごとに専用のプログラムを書かなければならず、システム移行が困難だった。
System/360では、すべてのモデルが同じ命令セットアーキテクチャ（ISA）を採用し、ソフトウェアの移植が容易になった。
32ビットアーキテクチャ
System/360は、32ビットCPUを採用し、高度な計算を可能にした。
これは、商業用コンピュータとしては画期的な仕様であり、大規模な科学計算やリアルタイム処理にも対応できる。
仮想記憶（オプション機能）
System/360は基本的にはリアルメモリ方式を採用しているが、一部のモデル（System/360 Model 67 など）では、仮想記憶（Virtual Memory）機能が実装されている。
これにより、プログラムが利用できるメモリ空間を拡張し、より大きなデータを扱うことが可能になった。
高速化された入出力（I/O）システム
System/360では、従来のコンピュータに比べて大幅に改良された入出力システムを採用している。
IBMのチャネル制御（Channel Control）を導入することで、CPUがI/O処理から解放され、並列処理が可能になった。
この設計により、大量のデータを扱う商用システムでのパフォーマンスが向上した。
3. System/360のモデルラインナップ
System/360は用途や規模に応じて複数のモデルが用意されている。
以下に、主なモデルを紹介する。
| モデル | 発売年 | 特徴 |
|---|---|---|
| Model 20 | 1966年 | 小規模システム向け、事務処理向け |
| Model 30 | 1965年 | 中小企業向け、事務処理と簡易科学計算対応 |
| Model 40 | 1965年 | 汎用業務向け、広く普及 |
| Model 50 | 1964年 | 企業向け、大規模処理も可能 |
| Model 65 | 1965年 | 高性能、科学技術計算や大規模商業処理向け |
| Model 75 | 1965年 | 最上位モデル、政府・研究機関向け |
| Model 67 | 1967年 | 仮想記憶機能を搭載、大学・研究機関向け |
これにより、小規模事務処理からスーパーコンピュータレベルの計算まで、同じアーキテクチャで対応できる。
System/360の影響と今後の展望
コンピュータの標準化
System/360の登場により、コンピュータ業界は「互換性」の時代に突入した。
IBMは、ソフトウェアや周辺機器の開発者に向けて、共通のプラットフォームを提供し、業界全体の発展を促進している。
OS/360の普及
System/360とともに開発されたOS/360は、汎用オペレーティングシステムとして広く普及している。
OS/360は、ジョブ管理（JCL）、メモリ管理、ファイルシステムを統合した最先端のOSであり、商業・科学計算の両方に対応可能である。
競合他社の動向
IBMの成功を受けて、他のコンピュータメーカーも互換性を重視したシステム開発に注力し始めた。
UNIVAC、Burroughs、CDCなどのメーカーも、IBMに対抗する新しいアーキテクチャを発表しており、コンピュータ市場の競争はますます激化している。
まとめ：System/360はコンピュータの未来を形作る
🔹 System/360は、単なるコンピュータシリーズではない。これは、コンピュータの未来そのものである。
🔹 「一つのシステムで、すべての用途に対応する」というコンセプトは、業界全体に影響を与え、今後の標準となるだろう。
🔹 1969年現在、すでにSystem/360は広く普及しており、今後の改良版や新機能の追加が期待されている。
IBMはこの成功をもとに、より高度な計算能力を持つ次世代のコンピュータ開発を進めている。
近い将来、さらなる進化を遂げた「次世代System/370」や「仮想化技術の発展」が実現するかもしれない。
🚀 コンピュータの未来は、すでに始まっている。 🚀
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