UNIXの誕生から2024年末までのUNIX派生OSの歴史
序章:OSの王者「UNIX」の遺伝子
私たちが普段使っているLinux、macOS、Android、そしてBSD系OS…。これらに共通する“祖先”が存在します。それがUNIX(ユニックス)です。
本連載では、UNIXを中心に、数々の派生OSの誕生と進化を追いながら、現代のOSがどのように形作られてきたのかを超詳細に解説していきます。
第1章:UNIXの誕生(1969年)
- 開発者:ケン・トンプソン、デニス・リッチー(AT&T ベル研究所)
- 開発のきっかけ:失敗に終わったMulticsプロジェクトの反省から、軽量で効率的なOSを目指す
- 初期言語:アセンブリ → 後にC言語で再実装(1973年)
- 画期的特徴:
- ファイルとしてすべてを扱う「Everything is a file」
- パイプによるプロセス連携
- 移植性:C言語で書かれているため他のマシンでも動作可能
第2章:UNIXの拡散(1970年代〜80年代)
2-1. BSD(Berkeley Software Distribution)
- 開発元:カリフォルニア大学バークレー校
- 革新:
- TCP/IPの実装
- viエディタ、cshなどのツール群
- 後のFreeBSD、NetBSD、OpenBSDの源流
2-2. 商用UNIXの群雄割拠
- System V(AT&T):商用化されたUNIXの本流
- AIX(IBM)、HP-UX(Hewlett-Packard)、SunOS/Solaris(Sun Microsystems)などのベンダーUNIXが乱立
- 標準化戦争:System V vs BSD(→ POSIX標準の誕生)
第3章:GNUとLinuxの登場(1980年代後半〜90年代)
3-1. GNUプロジェクト(リチャード・ストールマン)
- UNIX互換の自由なOSを目指す
- コンパイラ(GCC)、シェル(bash)などを開発
- 核心(カーネル)が未完成だった
3-2. Linuxカーネルの誕生(1991年)
- 作者:リーナス・トーバルズ
- 特徴:MINIXを参考にしつつ、完全自作のカーネル
- GNUツール群 + Linuxカーネル = GNU/Linux
- デスクトップからサーバー、組み込みまで拡張
第4章:macOS、Android、そして現代の派生たち
4-1. macOSの起源:NeXTSTEPとBSD
- スティーブ・ジョブズのNeXT社がUNIXベースのOSを開発
- これがAppleに買収され、Mac OS X(後のmacOS)へ
- BSD系ユーザーランドとMachカーネルのハイブリッド
4-2. Android:Linuxカーネル上の新世界
- Googleが開発
- UIやミドルウェアは独自だが、Linuxカーネルを使用
- 世界で最も普及しているUNIX派生系OS
第5章:2024年末の状況
- Ubuntu 24.04 LTS:サーバー・デスクトップ両方で人気
- macOS Sonoma / Sequoia:Apple Silicon時代の洗練
- FreeBSD 14.0:サーバー用途・セキュリティ志向のユーザーに根強い支持
- WSL(Windows Subsystem for Linux):Windowsとの共存時代へ
- 新興勢力:
- Alpine Linux、Void Linuxなどの軽量派生
- NixOSのような構成管理志向のOSも注目
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