1994年10月7日、歴史的証明が発表
1994年10月7日、数学史に残る歴史的な発表が行われた。
17世紀以来、360年以上にわたり証明も反証もなされなかった「フェルマーの最終定理」が、イギリス生まれの数学者アンドリュー・ワイルズ氏によって証明されたのである。
フェルマーの最終定理は、17世紀フランスの数学者ピエール・ド・フェルマーが、古代ギリシアの数学者ディオファントスの著作『算術』の余白に書き残した一文に由来する。
「私は真に驚くべき証明を見つけたが、この余白はそれを書くには狭すぎる」
この言葉とともに記された命題は、
「冪指数が2より大きい場合、
xⁿ + yⁿ = zⁿ を満たす自然数解は存在しない」
というものである。
内容自体は三平方の定理の知識があれば理解できるほど単純であったが、その証明は極めて困難であり、長年にわたり数学界最大の未解決問題とされてきた。
世界中の挑戦者を退け続けた難問
フェルマー没後の1670年、息子サミュエルによって書き込み入りの『算術』が出版され、この予想は広く知られるようになった。
フェルマーが残した他の書き込みはすべて真偽が判明したが、この予想だけは最後まで残り、「フェルマーの最終定理」と呼ばれるようになった。
専門の数学者だけでなく、多くのアマチュア研究者も証明に挑み、賞金が懸けられることもあったが、いずれも成功には至らなかった。
ワイルズ氏、極秘研究の末に到達
この難問に挑んだのが、プリンストン大学に所属するアンドリュー・ワイルズ氏である。
幼少期にフェルマーの最終定理を知り、数学者を志した彼は、1986年の研究動向をきっかけに、本格的な証明に着手。周囲に知られることなく、約7年にわたり研究を続けてきた。
証明には、モジュラー形式、楕円曲線、ガロア表現など、現代数学の高度な理論が用いられており、単なる古典問題の解決にとどまらない意義を持つとされている。
査読を経て最終確認へ
ワイルズ氏は1994年10月、同僚数学者に証明の査読を依頼。現在、詳細な検証作業が進められている。
数学界からは「20世紀最大級の成果」との評価も上がっており、正式に確認されれば、360年にわたる数学史上の議論に決着がつくことになる。
フェルマーが余白に残した一文は、時代を超えて現代数学へと引き継がれ、ついにその謎が解き明かされようとしている。


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