― UWP・MSIX・Win32は、今どこに立っているのか
Windows 11を使い込む技術者ほど、
「標準アプリは信用できない」「Storeは業務向きではない」
という先入観を持ちがちだ。
しかし、その認識は Windows 10時代で止まっている可能性が高い。
Windows 11では、
アプリ配布・実行・更新の仕組みが大きく再整理され、
標準アプリとMicrosoft Storeは“実運用前提”の位置づけに変わっている。
第5回では、UWP/MSIX/Win32の現在地を整理し、
技術者がどのアプリモデルをどう使い分けるべきかを明確にする。
Windowsアプリモデルは「統一」ではなく「整理」された
よくある誤解として、
Windows 11でアプリモデルが統一された
というものがある。
実際にはそうではない。
Windows 11は、
- Win32を捨てていない
- UWPを主流にもしていない
代わりに、
それぞれの役割を明確に切り分けた。
Win32は依然として“主力”である
業務アプリ、開発ツール、管理ツールの大半は、
今もWin32ベースだ。
Windows 11においても、
- フル権限アクセス
- 既存資産の継続利用
- 高度なシステム連携
という点で、Win32の優位性は揺らいでいない。
重要なのは、
Win32が「無制限」ではなくなったことだ。
- Defenderとの常時連携
- SmartScreenによる実行制御
- Application Controlの影響
Win32は「自由」だが、「無関心」ではいられなくなった。
UWPは“失敗”ではない
UWPはしばしば「失敗した技術」と語られる。
だが、これは半分正しく、半分誤っている。
UWPは、
- サンドボックス実行
- 権限制御
- ストア配布前提
という思想をWindowsにもたらした。
その成果は、
MSIXという形で生き残った
と言える。
MSIXは「パッケージの標準」である
MSIXは、UWPでもWin32でも使える
アプリ配布・更新の共通フォーマットだ。
MSIXがもたらす最大の価値は、
- クリーンインストール/アンインストール
- ロールバック容易
- ファイル/レジストリ汚染の抑制
つまり、
「アプリがOSを壊さない」ことにある。
技術者にとって、これは革命的だ。
Microsoft Storeは「配布経路」であって「アプリ種別」ではない
Microsoft Store=UWP専用
という認識は、もはや過去のものだ。
現在のStoreには、
- Win32アプリ
- MSIXパッケージ
- Microsoft公式ツール
が混在している。
Storeの本質は、
信頼された配布・更新チャネルである。
Storeを使うメリット・デメリット
メリット
- 更新が自動化される
- 改ざんリスクが低い
- ユーザー権限で導入可能
デメリット
- バージョン制御が難しい
- 細かい配布制御ができない
- オフライン環境では使いにくい
企業環境では、
無条件に許可/禁止するのではなく、用途限定で使うのが現実解だ。
標準アプリは「軽視すべきではない」
Windows 11の標準アプリは、
- OS更新と強く連動
- セキュリティ検証済み
- MDM制御対象
という特性を持つ。
特に以下は、
サードパーティで代替する前に検討すべきだ。
- メモ帳(Notepad)
- Windows Terminal
- フォト
- メール/カレンダー
「軽い」「壊れにくい」ことは、
業務では大きな価値になる。
技術者向けの現実的な使い分け指針
- コア業務/開発ツール:Win32(必要に応じてMSIX化)
- 補助ツール/閲覧系:Storeアプリ
- 個人利用/軽作業:標準アプリ
Windows 11では、
“すべてを自分で管理する”時代は終わりつつある。
技術者が避けるべき極端な判断
- Storeを全面禁止
- 標準アプリ即削除
- 非署名Win32の常用
これらは短期的には管理しやすく見えるが、
長期運用では必ず歪みが出る。
次回予告
第6回:Widgetsと情報配信の仕組み
― なぜWidgetsは制限が多く、組織では嫌われがちなのか。

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