松下電器、32ビットゲーム機「3DO REAL」を日本発売

1994年3月20日、マルチメディア時代を見据えた新ハード登場

1994年3月20日、松下電器産業は、32ビットマルチメディアゲーム機「3DO REAL」を日本国内で発売した。本製品は、米国The 3DO Companyが策定した統一規格「3DO」に基づく初の国内向けモデルであり、パナソニックブランドにて「インタラクティブ・マルチプレイヤー」という家電製品の一種として市場に投入された。

希望小売価格は79,800円と発表されていたが、実際の発売価格は54,800円となり、高性能32ビット機としては戦略的な価格設定となった。

3DO規格とThe 3DO Company

The 3DO Companyは、1990年にエレクトロニック・アーツ(EA)の創始者の一人であるトリップ・ホーキンス氏によって設立されたアメリカ企業で、当初はSMSG(San Mateo Software Group)という名称で活動していた。

「3DO」という名称は、「3D(3次元)」に加え、Audio、Videoと並ぶ一般的な存在になることを願い、それらに共通する語尾の「O」を組み合わせたものとされている。

同社は自らハードウェアを製造せず、電機メーカーにライセンスを提供し、ハードおよびソフトの販売本数に応じてロイヤリティを徴収するという、当時としては先進的なビジネスモデルを採用した。この構想のもと、EAは事実上のセカンドパーティとして3DO陣営を支える存在となっている。

家庭用ゲーム機を超えた性能

「3DO REAL」は、当時としては先進的な仕様を多数備えている。

CPUには32ビットRISCプロセッサARM60(12.5MHz)を採用し、スプライト処理や動画再生能力に優れる。毎秒30フレームのフルスクリーン・フルカラー動画再生(シネパック方式)を実現しており、ゲーム機という枠を超えたマルチメディア端末としての性格が強調された。

主な仕様

  • CPU:32ビットRISCプロセッサ ARM60(12.5MHz)
  • メモリ:メイン2MB、VRAM 1MB、SRAM 32KB
  • バス速度:50MB/秒
  • 描画性能:6,400万ピクセル/秒
  • 解像度:640×480ドット
  • 表示色:最大1,670万色(同時32,000色)
  • ポリゴン機能:テクスチャマッピング、グーローシェーディング
  • サウンド:DSP搭載
  • CD-ROM:倍速ドライブ
  • 対応規格:3DO用CD、CD-DA、ビデオCD、CD-G、フォトCD

ビデオCD再生には専用アダプターが必要とされるものの、家庭用機としては異例の対応範囲を持つ。

印象的なプロモーションとローンチタイトル

イメージキャラクターには、3DCGで描かれ「なんか言った?」と呟くアルベルト・アインシュタインが起用され、3DOが掲げる“次世代”と“知的先進性”を印象付ける演出が行われた。

日本国内では、T&Eソフト、マイクロキャビン、バンダイ、パック・イン・ビデオなどから複数のローンチタイトルが用意され、ジャンルもシミュレーションからアクション、実写系まで幅広い構成となっている。

マルチメディア時代への布石

3DO REALの登場は、ゲーム専用機という従来の枠を超え、「マルチメディア端末」という新たな方向性を家庭に持ち込む試みとして注目されている。
CD-ROMを軸に、映像・音声・インタラクティブ性を融合させた3DO構想が、日本市場でどこまで浸透するか、今後の展開が注目される。

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